Lilyのきままな読書記録

基本は小説、たまにビジネス本を読みます。いろんなジャンルを読むように心がけています。

旅屋おかえり/原田マハ

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あらすじ

あなたの旅、代行します!売れない崖っぷちのアラサータレント”おかえり”こと

丘えりか。スポンサーの名前を間違えて連呼したことが原因でテレビの旅番組を打ち切られた彼女が始めたのは、人の代わりに旅をする仕事だった――。満開の桜を求めて秋田県角館へ、依頼人の姪を探して愛媛県内子町へ。おかえりは行く先々で出会った人々を笑顔に変えていく。感涙必至の”旅”物語。

 

「旅屋」という職業は、依頼人の気持ちを持って旅をする仕事。

ただの代行サービスではないなとまず初めに感じた。

おかえりの持つ感性と、彼女の性格だからできたこの仕事。ただ旅行が好きだからと言ってできる職ではないなと感じた。

 

彼女の前向きな性格とパッションは、私に頑張れ!とエールを送ってくれているようで・・・。ほろりと感動する部分もあったけれど、それ以上に彼女に元気づけられた作品だった。

失敗してもおかえりには助けてくれる周りの人がたくさんいる。それはおかえりが、依頼人も含めた周り人の為を想って常に行動していたからだと思う。

きちんと周りの人は見ている。どんなに辛くても、失敗しても頑張るおかえりの姿を。

 

カンタ/石田衣良

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下町で育った発達障害のカンタと

秀才な耀司。

2人には父親がいなかった。

耀司の母はスナックで働き、夜ご飯も夜寝る時も耀司1人だった。

一方カンタの母は貧乏ながらも愛情は与えられていた。

しかしカンタの母が白血病になり亡くなってしまう。

カンタの母は、耀司にカンタのそばにずっといてくれと頼んだ。

 

後に耀司とカンタはバイトで貯めた資金で株を購入し、成功する。そして自分たちの会社を立ち上げ、また成功し上場までする。しかしマナーゲームに翻弄され騙されてしまう。

 

 

友情を超えた2人。親友でもあり義兄弟でもありビジネスパートナーでもある2人。

耀司はカンタの母に頼まれていた事を忠実に守った。

またカンタも死ぬ前に母に頼まれたいた。

何かあったら耀司を死ぬ気で守りなさいと。

何度潤んだことか。現代社会の現実的な問題を皮肉っぽく描写する部分もあったが、2人の成長とお互いの想いが文字で表されていて

非常に心温まる一冊だった。

 

 

 

 

 

まぐたら屋のマリア/原田マハ

 

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東京の老舗高級料亭で働いていた主人公、紫紋。

ある事件があり、後輩が罪を追って自殺する。

そこから紫紋は、遠くへ逃げようとバスに乗り込み、見知らぬ土地、「尽果」へと辿り着く。

海と山、空、道路しかないような所だった。

 

崖っぷち古びた小屋を見つけ、それに向かってひたすら歩いた。

ついに小屋に着くと、そこには木の看板があった。

そこには「まぐだら屋」と書いてあった。

空腹だった紫紋は一銭も持っていないことも忘れ、定食を食べた。

その定食は彼の心を動かし、この食堂で働くことを決めた。

そこで働いていたたった一人の女性、マリアこと有野まり との生活が始まる。

老舗料亭で働いていた頃の夢は、母に料亭に招き自分の料理を食べてもらう事。

東北にいる母のために紫紋はただひたすら頑張った。

が、ある事件があり今は全く知らない土地の食堂の料理人。

 

壮絶な過去を抱えたマリア、急に倒れこんできた丸孤、絶対的存在の女将…

寓話的でありつつも、生きる勇気をもらえ、時に涙するような物語。

原田マハの世界に完全に引き込まれた作品。

様々な料理が登場し、読みながら想像し、「食べてみたいな」と何度思わされたことか。

登場人物みんなの過去が明らかとなり、真実を知ることとなる。

皆生きることを諦めようとした。しかし希望を持ち、今を生きている。

読んだ後は強い気持ちで満たされた。

 

生きるぼくら/原田マハ

 

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あらすじ

いじめから、ひきこもりとなった二十四歳の麻生人生。頼りだった母が突然いなくなった。残されていたのは、年賀状の束。その中に一枚だけ記憶にある名前があった。「もう一度会えますように。私の命が、あるうちに」

マーサおばあちゃんから?人生は四年ぶりに外へ!祖母のいる蓼科へ向かうと、予想を覆す状況が待っていた――。 人の温もりにふれ、米づくりから、大きく人生が変わっていく。 

                                                     

 

 

人生は引きこもりから脱出し、働き、認知症のマーサおばあちゃんとつぐみと暮らす。

つぐみは人生の父、新多が再婚し生まれた娘。

そして新多は病気でこの世を去った事を、つぐみから知らされる。

 

マーサおばあちゃんが以前作っていた米を、人生とつぐみ、近所の方々と再開する。

人生がどんどんたくましくなり、おばあちゃんとつぐみを支えたいという意識が強くなる。

人生は変わり、米を作った報告を母へ連絡をする。

そのあとすぐに母から電話が・・・!

 

人はどんなきっかけて強くなれるか分からない。

希望は常にある事を人生から教わった。その希望を自分のモノにするかは、本人次第。

読み終わった後は前向きな気持ちなり、勇気をもらえた。

種まきから始まる米の成長と、人生の成長が同時に見られた。

だからタイトルの「生きるぼくら」の『ぼくら』は

人生、マーサおばあちゃん、つぐみ、亡き父新多、母、近所の方々、そして「米」を表すと思った。

 

皆生きている。亡き父も心の中では生きているはずだ。

 

人生の今後が気になる作品でした。